2014年11月05日

週末、秋晴れ、紅葉―暗転した“安心登山”

人里より一足早く紅葉が色づく秋晴れの週末――。古くから山岳信仰が盛んな“神の山”は、多くの登山客でにぎわいを見せていた。山登りには絶好の条件が揃っていたことが、不運にも被害の拡大につながった。九月ニ十七日正午前、長野と岐阜の県境に雀える御撤山が突然噴火。大きな噴石や火山灰の嵐が、数百人とみられる登山客を襲った。

噴火直後に偶然、山頂付近にいた、写真エージェンシー「アフ口」所属の女性力メラマンが語る。「噴火の後、山荘に逃げ込んだのですが、数分後には岩が屋根を直撃し、天井に穴が開きました。そのうち噴煙が太陽の光を遮って、辺りは真っ暗に。割れた窓から暖かい空気が入り込み、周囲が次第に熱くなってきました。

自分の最期を予感して、お母さんに『ありがとう』とメールしました」一時間ほどで激しい噴火は収まり、山荘などに避難していた人々は自力で下山を開始する。「下山中もパラパラと火山灰が降ってきて、小雨が降るような音がしていました。薄暗い中、次の噴火があるかもという恐怖に包まれながら必死に歩きました」山頂付近に取り残された登山客に対する救助活動は、自衛隊を中心に数百人規模で行われている。

山から程近い高校のグラウンドには、救出した登山客を乗せた自衛隊のへリがひっきりなしに着陸。廃校となった小学校には心肺停止状態の人々が運び込まれていた。九月三十日現在で、重軽傷者は約七十人、心肺停止の人と死者はあわせて三十六人。だが近年、「登山届」を提出しない人も多く、被害状況の把握は難航している。

標高三○六七mの高峰でありながら、初心者でも登りやすいと評判で、老若男女を問わず多くの登山者を集めていた御銀山。だが過去三十五年で三回の噴火実績がある、油断ならない活火山でもあった。ムっ後は噴火予知の精度を更に高め、リスクを周知させる取り組みが早急に求められる。



Posted by こころ at 17:45│Comments(0)
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